吾輩は歯医者のプロ患である。報酬はまだない。
スペ患とは、スペシャル対応をしないといけない患者様のこと。(白い巨塔で知った)
プロ患とは、患者としての経験値が高く、態度がプロ級であること。(今勝手に作った)
そう、私は歯医者さんに関してはプロ患だと自負している。ノンプロ患者とは心構えが違うのだ。
例えば、歯医者さんは、もはやサービス業だと思う。
私が通う歯医者さんの話。まず一週間前と前日に、予約日が近づいていますのメールを送ってくれる(参観日とかもメール来れば忘れないのに!)
待合スペースにウォーターサーバー(飲み放題!)
待合室にはオルゴールのBGMとアロマディフューザー(眠くなるよね!予約制だからすぐ呼ばれるけど)
待合室のソファと診察台は手触りも最高の皮貼り(寝るよね!)
診察が始まる前に、これだけ気持ち良くさせられたら、プロ患としては黙ってはいないのだ。
まず口紅は拭き取り、無色透明のリップクリームを薄く塗っておく。(口紅は論外。風が出ますよ〜、のヤツを使われると唇が乾きまくるから)
診察室に入ると歯科衛生士さんに笑顔で挨拶。(身の回りのお世話をしてくれるので、最初が肝心。気分を害すると紙エプロンを左右非対称に装着してくれる)
診察台に横になると、頭上にあるライトとミラーの位置からベストポジションを自ら素早く見つける。(しかし美容院のシャンプー台では、もう少し上にお願いしますと必ず言われてしまう)
目をつぶっていても、私の右側から聞こえる音で準備の段階が予測できる。(ビリビリ「歯医者さん基本セット」を滅菌パックから出し、シルバートレーにミラーやとんがったヤツを並べているな。カチッ 削るヤツのヘッドを装着したな。パカ 歯磨き粉とフロスの準備もOKね。)
Q お変わりありませんか?
A 「はい、特にないです。」
なら、雰囲気を察して今だ!のタイミングで口を開ける。(はーい、お口開けて下さいなどと初心者扱いはさせないのだ)
A' 「えっと、左奥の下6番のブリッジの辺り、違和感があります。痛くなる手前のような。歯磨きすると少し出血するんですが。」
(文字にすると何とも嫌味な知ったかぶり患者だが、仕方ない。私はプロ患だから。)
そんな私でもメガネは外すべきか毎回迷っている。
前々回は外した。小さなケースが用意されているから、そこに置くのだが、たまたま先生が手鏡を貸してくれツンツンの道具で説明してくれようにも、メガネ〜メガネ〜である。背もたれをわざわざ戻してくれてメガネをかけて、なんか、スマートではない。
前回は外さなかった。メガネの上からタオルを掛けられても大丈夫。今後はこれでいこう、と思った瞬間、歯科衛生士のお姉さんが作業の途中でタオルに触れてメガネが少し押された。フレームが柔らかいから痛くないが、片方の目の周りのファンデーションがレンズにくっ付いて曇った。カッコ悪い。
今後の課題であろう。
そうそう、メガネを外さなかったからはっきり見えたものがある。各診察台の脇にある大画面の患者データだ。
42インチ位の画面に自分の名前と年齢(見たくない!)と口腔内の写真がドーンと表示されている。正面から、斜めからのドアップ。何という歯並び!(見てられない!)
奥歯はギンギラギンがさりげなく無い。ほとんど光っている。ああ、よく工事してくれたなぁ。(若い頃通っていた歯医者さんね)
今後は少しずつ銀では無い素材に代えていく予定だが、かなり時間がかかるだろう。(お金も!)
歯石取りも、ただ口を大きく開ければいいってもんじゃない。あ、この角度は口を小さく開けた方がやりやすいよね、というタイミングがある。ほんの少し顔を傾けた方がいい、というタイミングがある。
それを多くの経験から得た私は、プロ患。
目をつぶっているようで、実は小姑のように観察している。ライトに舞うホコリとか。衛生士のお姉さんの、うがいして下さぁ〜い、と言うやけに色っぽい言い方とか。半袖白衣から見える二の腕とか。うがいの紙コップ、デザイン変わったなとか。歯医者になる第一条件はマスクハンサム!と漫画で読んだけどなあとか。左ききの先生や歯科衛生士っているのかなあとか。
歯茎が丈夫になるツボ押しとか、してくれないかなあとか。(ないか!)
意見など求められたことは一度もないが、いつかプロ患としての知識を発揮出来るよう精進すべく次回の予約をしたのであった。
ブロガーの北野トマレ先生、こんな患者嫌ですか?
次回は娘のマウスピースについて書いてみます。
※昔の話ならこちら