「たけのこの山」の嫁だったかもしれない
旦那の実家から、たけのこの煮物をいただいた。早速夕飯のおかずに、ありがたい一品。
家族でワシワシ食べた。柔らかくて、春の味。本当に美味しい。
たけのこ、と言えば。
以前ブログに書いた、昔の職場の仲良し4人組の思い出話にさかのぼる。
※ズッコケ4人組の花見についてはこちら
思い出話に桜咲く!とうとう終活が話題に - ぐうたらママのナインオール
私達は福岡県でも指折りの山里にある陶芸教室に通っていた。と言っても、数ヶ月に一度の割合だが。
そこは山深く静かな場所で、その時間4人だけを受け入れてくれるアットホームな窯だ。
白髪でジーパンが似合う、マイク真木の九州バージョンみたいな、やさしくてシブい口数の少ないお父さん先生。
穏やかでいつもニコニコしている可愛らしいお母さん先生。
2人が、好きに作ってみてごらん、と見守ってくれる。我ら、本当に好き勝手に作ってしまい
お父さん先生「おー、すてきな花瓶だね」
「あ、ビアマグです〜。」
2時間程の陶芸時間があっという間に過ぎて、次回が楽しみでならなかった。
今は高校球児の母である、友人まる子の結婚が決まった!という頃。披露宴のゲストに、箸置きを配りたいから手作りするという。
それは行かなければ!まあ、私達もそれをいただくことになるのだが、大好きな山里に何度でも行かなければ!
まる子は職人のように、可愛らしい箸置きをせっせと作っていた。他の3人は、好き勝手に迷作!を作っていた。
様子を見に来たのはお父さん先生ではなく、40才くらいの息子さん先生だった。おっとりとして、口下手で、うるさい女子4人に終始圧倒されていた。それでも、丁寧に教えてくれた。
帰り際に、お母さん先生が
「あなた達、たけのこ好き?ほらすぐそこの山で、今たけのこが沢山生えてきたから、持って帰らない?」
うわー、好きです!欲しいです!掘りますとも!わんわん
お母さん先生の指導で、たけのこ堀り教室となった。両手で抱えないと持てない位、立派なたけのこを何本もいただいた。
こんなにたけのこが取れて、いいですね〜。
すると、お母さん先生が唯一独身街道まっしぐらの私をロックオン!
「うちのお嫁さんに来ない?こんな田舎嫌かしら、やっぱり」
いやいや、素敵な所ですよー。こんな所なかなかないです(笑)
「うちの息子、都会の人には無理かしらね。優しいのよ。」
やさしそうですよねー。それに私、都会の人じゃないですし(笑)
「たけのこも掘りたい放題よ!」
他の3人は、キャーいいやん、そうなったら私達も楽しい!そうしぃー!と騒ぐ。おいおい。
その頃は仕事が忙しくて、たまに陶芸などの息抜きを女友達と過ごすのが気楽で心地よかったのだ。
たけのこ、ありがとうございました〜!
と車から手を振って別れる時も、なんだかお母さん先生に申し訳ないような、何とも言えない感じがした。それくらい素敵な家族だったのだ。
あれから何年たっただろう。まだあの窯はやっているのだろうか。
息子さん先生は結婚したのだろうか。
たけのこは今年も沢山生えたのだろうか。
もしかしたら、私もたけのこの山の嫁だったかもしれない。
もしかしたら、陶芸教室のお母さんになったかもしれない。
もしかしたら。今以外は、全部もしかしたら。
たけのこを頬張りながら、そんな事を考えていた。ちなみにお皿は当時の作品!結構気に入っている。